インフラ・計算資源 AI開発の概要および次期GPU計算基盤・2027年までの計算基盤のロードマップ 1. インフラは「裏方」ではなく競争力の源泉 チューリングにおけるインフラは、開発を支えるための周辺機能ではありません。完全自動運転の実現に向けて、モデルの学習・評価・改善を回し続けるための中核的な競争力です。End-to-End型の自動運転は、巨大なニューラルネットワークを学習させ、性能を伸ばし続けることが前提になります。その結果、計算資源は単なるツールではなく、技術進展の速度と組織の成長を規定する「資源」になります。 インフラを投資として成立させるには、「この基盤で何をするのか」が明確である必要があります。チューリングでは、優先順位がシンプルです。完全自動運転に向けたモデル開発の速度を上げること。学習と検証の回転数を上げること。開発者がストレスなく計算資源を使い切れる状態を作ること。この目的がぶれないため、インフラの意思決定もぶれにくく、調整コストを最小化しながら前に進められます。 2. 計算基盤の現在地:学習が「素直に伸びる」フェーズ チューリングは2024年に、AI学習に特化した専用クラスターを構築し、運用を開始しました。それから計算資源は大きく増強され、2025年12月時点では、当初の基盤と比べて約8倍の計算能力を常時利用できる状態になっています。この規模は、スーパーコンピューター富岳のAI演算性能のおよそ40%に相当します。(2025年11月時点) 重要なのは、計算資源が「余っている」状態ではないことです。現在の自動運転モデルは、学習データと計算量を投入すればするほど性能が素直に伸びる段階に入っています。つまり、GPUがあればあるだけ使い切れるフェーズです。この性質は、計算資源の重要性をさらに高めます。計算資源が不足すれば改善サイクルが鈍り、計算資源が確保できれば改善速度が上がります。インフラは、研究開発の速度そのものに直結しています。 3. 自動運転ならではの難しさ:データとストレージが支配する 自動運転のインフラは、一般的なWebサービスのインフラとは性質が異なります。最大の違いは、データが「サブ」ではなく「メイン」であることです。画像・動画・センサログが開発の中心にあり、それらが日々蓄積され続けます。データ量が膨大である以上、ストレージとI/Oは常にボトルネックになります。 また、学習は「GPUさえあれば速い」わけではありません。学習の高速化を阻むのは、GPUの性能よりも、データが読み込めない、ファイル数が多すぎる、ネットワークが詰まるといった基盤側の制約であることが多くあります。MLエンジニアが数百万ファイル規模でデータを扱うのは、ストレージにとって非常に厳しい要求です。しかし、それが彼らの最もやりやすい方法である以上、インフラ側が「その要求に耐える」ことが責務になります。 この領域では、インフラの改善が成果に直結します。計算時間が短縮されれば、実験回転数が上がり、モデル改善の速度が上がります。インフラが「コストセンター」ではなく「投資」であることが、数字として見える領域です。 4. 次期GPU基盤:5〜10倍のスケールを前提とした設計 2027年12月までを目処に、現在の5〜10倍となる計算性能の獲得を計画しています。具体的には、現状およそ0.7エクサフロップス(FP16換算)の計算能力を、3.5〜7エクサフロップスのレンジまで引き上げることを目指します。 次期基盤の設計思想は、単にGPUを増やすことではありません。ポイントは3つあります。 第一に、最新世代GPUの採用によって、サーバー単体の性能を最大限に引き上げます。第二に、800Gbps帯域のフルバイセクションネットワークを前提とし、サーバー間通信がボトルネックにならない構造を目指します。第三に、大規模動画データに対応した高速ストレージを整備し、1GPUあたり数GB/秒のデータアクセスを、1000台規模のGPUが同時に行える前提を作ります。 この拡張により、End-to-Endと基盤モデルの開発速度をさらに加速させ、AI性能を最大限引き出すことを狙います。 5. 今後の焦点:計算資源を「戦力化」し続ける インフラにおける今後の焦点は、計算資源を増やすことだけではありません。大規模学習を安定的に回す運用、学習・評価の回転数を落とさない設計、開発者がストレスなく使える体験、そして費用対効果の最適化まで含めて、計算資源を継続的に戦力化することが求められます。 完全自動運転の開発は長期戦です。その中でインフラは、成果を生む速度を決める前提条件であり続けます。チューリングは、インフラを競争力の源泉として位置付け、計算資源・ネットワーク・ストレージ・運用の全体を設計しながら、学習と検証のサイクルをさらに高速化していきます。 Join us : 完全自動運転という難易度の高い課題を、様々なバックグラウンドを持つメンバーと取り組みませんか? エントリー 募集要項 もっと会社を知る これまでの挑戦と実績 チューリングのAI開発の概念・モデル チューリングのMLOps チューリングの自動運転ハードウェア 自動運転市場の動向・歴史 超えるべき難所・今後の展望