会社の将来像 社会・市場環境の変化 自動車産業はいま、大きな構造転換の渦中にります。CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)の潮流の中でも、特に自動運転は次世代モビリティの中心テーマです。従来のドライバー中心の交通インフラに代わり、AIが責任を持って意思決定する時代が目前に迫っています。 その最前線では、これまで支配的だったLiDAR・HDマップベースのルールエンジン型アプローチに限界が見え始め、カメラ画像と深層学習のみで柔軟に状況判断するEnd-to-End方式が主流となりつつあります。 さらに2024年には、経済産業省が主導するGPU補助金政策(GENIAC)により、国内の計算資源投資が加速。従来なら米中に偏っていた開発基盤が、日本においても整いつつあります。この環境変化により、ソフトウェアドリブンな自動運転開発が、日本から世界に向けてリードされる土壌が生まれ始めています。 事業構想・成長シナリオ チューリングの成長シナリオは、単にAIを研究する企業ではなく「事業としてスケールしうる」完全自動運転を提供することにあります。以下、主要な3フェーズで構成されています。 Phase 1:PoC/Demo(2024〜2025) 複数のパートナー企業と連携し、公道走行でのAIモデル性能を検証。Tokyo30プロジェクトの達成により、都市部におけるE2Eモデルの社会実装可能性を示した。 Phase 2:先行開発(2026〜2028) OEM/サプライヤーとの戦略的提携により、「量産車搭載のためのE2Eモデル開発」に着手する。 Phase 3:量産フェーズ(2029〜2030) 複数の車種に対してチューリングのAIが搭載され、市販車として販売することを目指す。 組織の進化・働く人材像の変化 チューリングの組織は、「変化に対応し続けること」と「世界レベルの技術を維持し続けること」を前提に設計されています。あらゆる構造や仕組みは、その目的のための手段であり、現実とのズレを感じたら迷わず見直します。昨日の成功体験に固執せず、常にリセットできる柔軟性が、チューリングの組織文化の根底です。 私たちが信じているのは、「The Bitter Lesson」が示すように、本質的な進化とは人間の工夫ではなくスケーリングによってもたらされるということです。属人的なやり方ではなく、よりシンプルで強いアプローチを、変化の中で更新し続けることが重要。だからこそ、組織設計も固定化せず、再現性や安定性よりも“進化のしやすさ”を優先しています。 実行のスピードもまた価値です。完璧な戦略よりも「まずやってみる」。この文化があるからこそ、意思決定のスピードが早く、プロダクトの進化を止めません。もちろんすべてがうまくいくわけではなく、失敗したらすぐに学び、修正して前に進む。その循環を止めないことが、組織の健全性を支えています。 チーム運営においては、「小さく、素早く、変化する」ことが徹底されています。機能別でもプロジェクトベースでもなく、その時もっとも自然な単位に構成が切り替わります。リーダーも「やる気」と「適性」があれば抜擢します。すべてはスピードのため、そして“今”に最適な体制を優先しています。 変化には常に痛みが伴います。成果が出る前に方針が変わることも、役割がリセットされることもあります。私たちは「それでも、前に進む」。痛みを避けるのではなく、それを越えて、より高いレベルのプロダクトと技術チームに進化し続ける覚悟を持っています。 いま私たちが求めているのは、「仕組みを守る人」ではなく「変化し続けられる人」。そして、最先端で戦い続けられる水準で自分を更新し続ける人です。その連続が、チューリングという組織を、変化に強く、技術に強く、未来に開かれた存在にします。 経営陣メッセージ 日本の自動車産業は、世界に誇るものがあります。特にハードウェア技術の蓄積と品質の高さにおいては、今なお圧倒的な競争力を保ち続けています。しかしその一方で、AIという新たな技術領域では、従来の工学的アプローチ──要素還元主義的なモジュール設計や性能向上の積み上げ──が、そのまま通用しなくなってきているのも事実です。AIを経営の中心課題として捉え、技術と組織を変革できるリーダーが、日本にはまだ十分に育っていません。 世界を見渡せば、自動運転に取り組む先行企業はすでに数千億円、あるいは数兆円規模の投資を重ねています。大規模なAI学習用データセンターの構築、一流の研究者やエンジニアの招聘、彼らが仕事に全力で集中できる開発環境の整備。そうした整った土壌の上で、次世代のモビリティが着々と育まれています。一方、日本では同様の規模で投資判断を下せる意思決定者が少なく、結果としてAIエンジニアの才能が十分に活かされないまま埋もれてしまうケースも少なくありません。 日本に優秀なAIエンジニアがいないわけではない。むしろ、世界と戦えるだけの技術力・知見・情熱を持つ人材は数多く存在しています。しかし、その才能を本気で引き出せるような挑戦的な課題、そして安心して打ち込める成長環境が圧倒的に不足しています。優れた問いと優れたフィールドがなければ、才能は育たない。これは紛れもない事実です。 だからこそ、国内に眠る才能たちに世界水準の問いとフィールドを提供し、完全自動運転という人類最大級の技術課題を日本からのアプローチで打ち破りたいと考えています。